ペーパーレス化はDX推進の第1歩!メリットや進めるポイントを解説

ペーパーレス化はDX推進の第1歩!メリットや進めるポイントを解説

経済産業省のレポートでは、2025年までにDXによる業務効率化やデータ活用を実現できなかった場合、競争力の低下により日本は毎年12兆円もの経済損失を被るとされています。

出典:経済産業省「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」

そのような状況下において、企業ができるDX推進の第1歩として政府が推奨している施策にペーパーレス化があります。ペーパーレス化を推進すれば、将来的には企業の競争力が増し、変化のスピードが加速する社会においても生き残っていけるでしょう。

この記事ではペーパーレス化がDX推進の第1歩とされる理由や、ペーパーレス化のメリット・デメリット、ペーパーレス化を進めるポイントを解説します。

1.ペーパーレス化とは

「ペーパーレス化」とは、紙媒体の資料や書籍を電子化してデータとして活用・保存することを指す言葉です。ビジネスにおいては、紙で運用していた文書・資料・書籍をPDF等の電子データに置き換えて運用するという意味で用いられます。

ペーパーレス化の施策例は以下の通りです。

  • 紙の帳票類を電子化する
  • 紙のマニュアルをWebで見られるWebマニュアルに置き換える
  • 会議資料の印刷をやめ、データで配布する
  • 自社のポスターをデジタルサイネージに置き換える
  • カタログをデジタルカタログに変更する
    など

1-1.DXとは

DXとは、2004年にスウェーデンのウメオ大学教授、ストルターマン氏によって提唱された「人々の生活をITの浸透によってよりよくする」ことを表した概念です。DXは略語で、正式にはデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)と呼ばれます。

トランスフォーメーション(Transformation)とは英語で「変化・変革」を表し、「X」と略されることからDXという略語が使われるようになりました。

日本では一般的に、企業がデータとIT技術を活用して製品やサービスの向上や業務効率化を図り、市場競争で優位に立とうとする戦略のことを指します。経済産業省によると、日本におけるDXは以下のように定義されています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

引用:経済産業省中小企業庁ミラサポplus「「デジタル・トランスフォーメーション」DXとは何か? IT化とはどこが違うのか?」引用日2024/2/21

ビジネスの現場にデジタル技術を導入することで向上するのは、商品やサービスのクオリティだけではありません。蓄積されたデータやオンラインツールの活用により、業務プロセスの無駄を省き、企業体質そのものによい変革をもたらす狙いもあります。

1-2.ペーパーレス化がDX推進の第1歩と言われる理由

経産省の「DXレポート2中間取りまとめ」では、「コロナ禍を契機に企業が直ちに取り組むべきアクション」の1つにペーパーレス化が掲げられています。

出典:経済産業省「『DXレポート2(中間取りまとめ)』

DXの大きな目的は企業全体での働き方に変革を起こすことであり、その取り組みは多岐にわたります。経産省ではDX達成のための3つの段階があるとして、以下の指標も提示しました。

1 デジタイゼーション
業務の中の一部をデジタル化し、データの蓄積が可能な環境を整えている状態です。DXを本格化するにあたって最初期に取り組むことが想定されています。
2 デジタライゼーション
デジタルツールを用いて企業の生産性を高めるため、蓄積されたデータを活用できる状態です。
3 デジタルトランスフォーメーション
組織全体の業務や製造プロセスをデジタル化し、事業規模での変革を起こした状態です。

ペーパーレス化は「1.デジタイゼーション」の範疇であり、DX化に必要なコスト削減やデータ蓄積のために必要不可欠なプロセスと言えます。

2.ペーパーレス化からDXを進めるメリット・デメリット

ペーパーレス化には、DX推進を目指す企業にとって多くのメリットがあります。ただし、人によってはデメリットと感じられる部分もあるため、適切な対策を行う必要があります。

以下ではペーパーレス化に伴うメリットとデメリットについて解説します。

2-1.ペーパーレス化のメリット

ペーパーレス化のメリットは以下の通りです。

・コストを削減できる

ペーパーレス化により、用紙代やプリンター代、ファイルやキャビネットなどの備品が必要なくなるため、コストが削減できます。また、印刷にかかる時間も削減できるため、生産性向上も図れます。

・検索・修正・共有が容易になり業務を効率化できる

資料や書類がデータ化されクラウド上に保管されると、書類を保管場所から取り出して一つひとつ探す手間をかけなくても、ファイル検索により簡単に見つけられます。また、誤字脱字があった場合も書き直しの手間がかからず、場所を問わずに書類にアクセスできる点もメリットです。

・情報漏洩や紛失リスクを軽減できる

デジタル化された文書であれば、ログ管理によって誰が閲覧・編集したのかを記録として残せるため、社内文書の不正な持ち出しにも対応できます。資料の置き忘れや盗難による漏洩・紛失のリスクも軽減できるでしょう。

・環境保護やSDGsへの貢献につながる

ペーパーレスにより、紙の消費量を削減でき、焼却処分による二酸化炭素排出を抑えられます。SDGsの要件である森林保護や気候変動対策の一環として取り組みがアピールできるため、企業イメージの向上にも効果的です。

2-2.ペーパーレス化のデメリット

ペーパーレス化のデメリットは以下の通りです。

・一部にデータ化できない書類が残っていると煩雑になる

紙でしか保管できない書類が残っており、一部の書類しかデータ化していない場合はペーパーレス化である業務効率化が達成できません。ほとんどの書類は電子帳簿保存法の改正により電子化できるようになったため、基本的に社内の書類はすべてデータ化しペーパーレスに移行しておくことが重要です。

・導入にコストがかかる

ペーパーレス化には、単にデータを電子化するだけでなく、文書管理システム・情報共有システム・電子契約システムなどの導入が欠かせません。くわえて、スキャナーやOCRツール(紙の文章を文字データに変換するツール)も必要です。長期的に見れば効率化により導入コストを回収できますが、短期的に見れば導入コストがかかる点がデメリットと言えます。

・紙よりも見づらいと感じる方もいる

タブレットやモニターで資料を確認する場合、紙と比較して情報量が多いと見づらく感じやすい傾向があります。ITに不慣れな方は、慣れるまでかえって業務効率が落ちるかもしれません。なるべく見やすい資料作りを心がけるとともに、社内での研修やサポートを充実させることも考えましょう。

3.企業がペーパーレス化からDXを進めるためのポイント

DXの第一歩としてペーパーレス化を推進するためには、社内でペーパーレス化の意義や目的を明確化し共有することが大切です。まずは社内での経費申請をペーパーレスにしたり、ペーパーレス会議を開いたりと、小規模な導入から始めるといいでしょう。ペーパーレス化で手間が省ける実感が持てると、従業員にもペーパーレス化の必要性を理解してもらいやすくなります。

その上で、ペーパーレス化の導入にあたって必要となる、文書管理システム・情報共有システム・電子契約システムなどを選びましょう。

特におすすめなのは業務上必要なシステムをすべて内製化できるアプリケーション「Microsoft Power Platform」です。電子化したデータの可視化や処理の自動化、チャットボットの作成、そのほか必要に応じたシステム開発をノーコード・ローコードで行えます。自社の契約形態に合った電子契約ツールや、ペーパーレス化に伴う情報管理ツール、電子マニュアルなどを、プログラミングの知識がなくても内製化可能な点が魅力です。

Microsoft Power Platform 導入サービスについて詳しくはこちら

3-1.将来的には業務プロセスすべてをデジタル化するのも大切

DXを成功させるためには、ペーパーレス化だけでなくビジネスプロセスそのものにも電子化・デジタル化を浸透させることが大切です。これまで手作業で行っていたデータの分析や予測などをERP(Enterprise Resource Planning)によって行う企業も増えました。

中でも「Microsoft Dynamics 365」は業務プロセスのデジタル化に最適なERPアプリケーションです。Office 365とも連携できるため、データ入力の手間を大きく削減できます。在庫や売上データをリアルタイムで連携・共有でき、ローコード・ノーコードでのカスタマイズも可能です。データ活用やバックオフィス業務の改善にも大きく貢献するため、ぜひ利用を検討してください。

Microsoft Dynamics 365 ERP & CRM 導入サービスについて詳しくはこちら

まとめ

ペーパーレス化はDXの3つのステップのうち、最初のプロセスである「デジタイゼーション」にあたります。ペーパーレス化によって社内の書類をデジタル化すれば、コストの削減や業務効率化、紛失や情報漏洩対策、SDGsへのアピールなどが可能です。さらに、将来的には業務プロセス全体をデジタル化し、事業変革にもつなげられるでしょう。

ただし、ペーパーレス化は半端に紙の書類が残っている場合はかえって非効率になる場合があり、導入の際にはコストがかかります。最初は小規模なペーパーレス化からスタートし、従業員に浸透させた上でDXを進めていくのが重要です。

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