2022年1 月: 代表取締役社長 佐藤誠詞

2022年のビジョン:SYSCOMの目指す姿

34年前、私はニューヨーク市で日系銀行の米国進出プロジェクトを担当していました。当時のテクノロジーは今日とは全く異なるもので、ITに関わる様々なニーズに対応するには、実際に手を動かして業務を行うたくさんのスタッフが必要でした。数多くのベンダーやコントラクターが日々作業していましたが、プロジェクトは一向に進んでいませんでした。

新しいベンダーを採用すれば状況は良くなるだろうと言う人もいましたが、私は作業が順調に進んでいない理由は、ベンダーの質やパフォーマンスではなく、多くのベンダーが様々なタスクを同時に進める中で、その進捗を一元的に管理する人がいないからだと気が付きました。

そこで、私はベンダーを変えるのではなく、プロジェクトコーディネーターを採用するようアドバイスしました。既に多くの予算を費やしていたので、多少の抵抗はありましたが、結果としてベストな解決策となりました。プロジェクトはスピードを取り戻し、完成。その後、この銀行の米国内の業務拡大に必要なIT関連プロジェクトを、9年間にわたり手掛けることとなりました。

そして、気付いた頃には、多数のプロジェクトコーディネーターを提供する立場となっていたので、自らの会社を起業することにしました。1990年にSYSCOM GLOBAL SOLUTIONSを設立(設立時社名:SYSCOM (USA)INC.)。それから32年間、クライアントの立場に立ってベストなソリューションを提供することを常に念頭に置き、クライアントの戦略的パートナーとなれる人材を集め、会社を率いてまいりました。

多くの企業が未だパンデミックの影響を完全に払拭しきれていない今だからこそ、引き続きクライアント企業のパートナーとして、ビジネス拡大のために最適なIT・デジタル支援を行っていきたいと気持ちを新たにしています。

2021年を振り返って

2021年のパラダイムシフトにより、全世界がそれまでのビジネスのやり方を変えざるを得ない状況に追い込まれ、クライアントのニーズは一夜にして変わりました。デジタルトランスフォーメーション(DX)は何年もの間重要と言われてきましたが、2021年にはそれが不可欠となりました。働く環境のみならず、お金の管理やエンターテイメント、ショッピング、学習すらオンラインへとあっという間に移行しました。

フルリモートワーク環境へと急速にシフトするためには、より正確な管理と会計の数値が必要となったため、多くのクライアントがMicrosoft Dynamics 365などのERP(エンタープライズリソースプランニング)サービスを導入し、DXへの最初の一歩を踏み出しました。

サプライチェーンの混乱、チップの不足、その他多くの予想外の障害により、弊社も大きな打撃を受けましたが、同時に新しい機会も生まれました。Microsoft Dynamics 365への大規模な投資に支えられたERPビジネスは、当初の売上予測の2倍になりました。このERPビジネスは、2022年のDXビジネスの更なる成長の基盤となりました。

2022年の展望

SYSCOMは、既存顧客に対し業務改善、セキュリティ強化、ビジネス拡大、グローバル化支援のための最適なIT・デジタルソリューションの提供を続ける一方で、DX推進を目指す新規顧客をサポートするための体制を整え、全社で47%程度の売り上げ増を見込んでおります。臨機応変かつきめ細かな対応を心掛けながら、様々な国のあらゆる規模でのグローバルERP・DXサポートを提供してまいります。

中でもERPは、東京オフィスにおけるビジネスの主要な推進力となり、2022年には27%の成長が見込まれています。日本やアジアの企業がグローバル化するにつれてMicrosoft Dynamics 365のようなクラウドベースのビジネスアプリケーションは、企業が進化するための基盤として不可欠となります。Dynamics 365は、その比較的安価な料金(主要な競合他社の半分以下)と確かな実績で、シームレスなグローバル化を後押しします。

また、データセンタービジネスも大きく成長する兆しが見えています。データセンターへのニーズは2021年に急増し、2022年には総売上高の30%を占めるビジネスになると予測しています。電話対応をするカスタマーサービス企業、電子取引を処理する銀行、ゲームナイトを主催するゲーム企業、財務情報を管理するeコマースベンダーなど、全てのビジネスにとってデータセンターが必須となったことが背景にあります。

次に目指すもの

2021年から実施しているブランドアウェアネス・キャンペーンを基に、日系企業に関わらず欧米系企業の顧客をさらに拡大していく予定でいます。

もちろん米国には大手競合他社が多く存在していますが、顧客が抱えるIT課題に対する解決策を短期的に提供するのではなく、そもそもなぜ顧客がそのような問題を抱えているのかを理解するところから始めるというアプローチに、我々のビジネスの特異性があると認識しています。顧客にとっても、問題が発生するたびにベンダーを採用して問題解決を試みるよりも、問題の本質を理解して抜本的な解決策を見つけられるパートナーがいることは、長期的な見通しが立ち、結果的にコストを抑えることに繋がります。長期的なビジネスパートナーシップを築くことは、顧客にとっても我々にとってもベネフィットとなります。

2021年の米国企業への働きかけを通して、セキュリティへのニーズが非常に高いことが分かりました。多くの顧客企業は、AWSなどのパブリッククラウドか、自社のプライベートクラウドを使用しており、365日24時間体制で監視する必要に迫られています。テクノロジーの進化によりセキュリティ侵害や脅威をAIで検知できるようになっていますが、コンプライアンスと安全性を確保した監視や分析には依然として人間による運用が必要です。弊社は、Crowdstrike MSSPとして、EDR・MDRの導入により、サイバー攻撃を受けた際や、ウイルス感染した際の被害を最小限にとどめる内部対策の運用を実施しています。

米国市場における、私たちのもう一つの利点は企業サイズと言えます。大手競合他社がサポートしきれない中小企業のお客様に対し、中堅企業である我々だからこそ、細部にわたる支援を行えるということは、大きな強みとなると期待しています。

Think Local, Act Global

2021年に社名変更をするにあたり、「Think Local, Act Global」というスローガンを打ち出し、設立当初から心がけている「お客様のパートナー」になることを目指し、努力を続けてきました。

顧客を支援するには、まず顧客がビジネスを行っている地域の特性をよく把握し、顧客の日々のニーズや、最終的な理想形を理解する必要があります。なぜ顧客が問題に直面しているのか、そして何が理想形に近づくのを妨げているのかを知る「ローカル」な視点が必要です。

一方で顧客と真の長期的パートナーになるには、顧客がビジネスを行っている範囲よりも広く「グローバル」なコンテキストを理解する必要もあります。まずは顧客の目の前の障害を取り除くためのソリューションを提供し、信頼を確立した後に、その顧客のビジネスが更に発展していくための長期的な戦略を提案していくということです。

このアプローチこそが、弊社のスタート地点でもあり、これからも成長を続けるための原点であると確信しています。一社一社の顧客企業のパートナーとして、そのビジネス拡大を全力で支援することで、2022年を素晴らしい年にしていけるよう社員と共に邁進してまいります。

今年に向けて大胆に前進するにあたり、「ローカルに考え、グローバルに行動する」という、企業理念を倍増していきたいと思います。実際、これは私たちのコア戦略をシンプルに言い換えているというだけで、設立初期の頃から持っていたものです。私たちはベンダーになることを目指すのではなく、パートナーになるよう努力しています。

顧客を支援するには、まず顧客が業務を行っている地域の状況を直接検討して、顧客の日々のニーズと、最終的な理想形を理解する必要があります。なぜ顧客が問題に直面しているのか、そして何が理想形に近づくのを妨げているのかを知る必要があるのです。

顧客と真のパートナーになるには、顧客がビジネスを行っている範囲よりも広くグローバルなコンテキストを理解する必要もあります。ローカルでは顧客が障害を乗り越えるために必要なソリューションにつなげることができ、信頼を確立した後は、その顧客がグローバルに拡大するにつれてそれを将来のビジネスに活用できるようにします。新しいニーズが生じるたびに、より多くのサービスを提供し、当社の基盤を構築していくのです。

これがこの会社の未来であることを私は知っています。ここはもともと私たちが成長したところであり、これからも成長し続けるところです。なぜなら、ここが私たちのスタート地点であるからです。そして、これに忠実であり続けるならば、私たちが到達する高さに制限はありません。

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