働き方改革など通信環境の変化が急速に進んだ近年、社外でのセキュリティ対策も必須となっています。日々複雑化するサイバー攻撃から企業のデータなどを守るためには、従来のセキュリティ対策に加えて、エンドポイントセキュリティの導入が必要です。最近の猛威を振るっているフィッシングやランサムウェアに対してもエンドポイントセキュリティは有効と言われています。
当記事では、エンドポイントセキュリティの概要と仕組み、重要性について解説します。また、現在求められるエンドポイントセキュリティ対策と、対策を強化する方法も紹介します。社内外の脅威から企業の情報を守る対策を講じましょう。
1.エンドポイントセキュリティとは
エンドポイントセキュリティとは、エンドポイントにあるサーバーやPC、タブレットなどの端末をサイバー攻撃から守るために講じるセキュリティ対策のことです。エンドポイントとは、もとは「終点」や「末端」を意味する英単語で、セキュリティ用語として使うときはネットワークに接続された末端の端末機器を指します。
企業では、かつてはゲートウェイセキュリティが重視されていました。ゲートウェイセキュリティとは、社内ネットワークがインターネットにつながるポイントを監視し、不正アクセスや脅威の侵入を防止するセキュリティ対策を指します。現在では、ゲートウェイセキュリティに加え、エンドポイントを対象としたセキュリティ対策の重要性が増しています。
1-1.エンドポイントセキュリティの重要性
エンドポイントセキュリティの重要性が増している背景には、主に以下の2点があります。
・通信環境の変化
働き方改革やテレワークの普及に伴い、社内システムで守られてきた社用PCなどの端末を社外に持ち出して業務にあたるケースが増えています。ゲートウェイセキュリティなどの従来の対策ではカバーできないケースが増えたことにより、エンドポイントでのセキュリティ強化が重要視されています。
・サイバー攻撃の複雑化
サイバー攻撃の手段は、日々複雑化・巧妙化しています。社内ネットワークの内側にある端末であればゲートウェイセキュリティで保護できても、外側に端末がある場合は守れません。また、USBメモリを介するなどのインターネットを通さない攻撃や、特定のターゲットを狙う標的型攻撃にも無力です。セキュリティインシデントの発生を防ぐためには、個々のエンドポイント端末でのセキュリティ対策を強化する必要があります。
エンドポイントセキュリティを導入すると、以下のようなメリットが得られます。
・効果的にマルウェアを検知・防御できる
エンドポイントセキュリティは、マルウェアが不審な挙動を開始した瞬間に検知します。未知のマルウェアも検知できるため、効果的な防御が可能です。
・被害を未然に防げる
エンドポイントセキュリティは、マルウェアの侵入や動作の開始を検知すると強制的に停止したり通信を遮断したりします。そのため、サイバー攻撃による被害の発生を抑えることが可能です。
・端末を管理できる
次世代エンドポイントセキュリティでは、エンドポイントがインターネットに接続していればリモートで必要な対処ができ、適切に端末管理ができます。
2.エンドポイントセキュリティの種類|仕組みと役割
エンドポイントセキュリティには4種類あります。ここでは、それぞれの仕組みや役割について解説します。
・AV/EPP
AV(Antivirus)/EPP(Endpoint Protection Platform)は、パターンマッチング方式でマルウェアを検知・ブロックするセキュリティシステムです。マルウェアの特徴を登録したデータベースをもち、エンドポイント上でファイルをスキャンして一致するパターンを見つけ出します。ウィルス対策ソフトウェアで知られる従来型のセキュリティ製品の多くで採用されています。既知のマルウェアは高い精度で検出できる一方、未知のマルウェアには対応できません。
・NGAV/NGEPP
NGAV(Next Generation Antivirus)/NGEPP(Next Generation Endpoint Protection Platform)は、振る舞い検知やAIなどを用いて、マルウェア特有の不審な動きを検知するセキュリティシステムです。データベースに依存せず検知する仕組みのため、未知のマルウェアにも対応できます。
・EDR
EDR(Endpoint Detection and Response)は、マルウェアの侵入を前提とし、セキュリティ被害を最小限に抑えることを目的としたシステムです。エンドポイントの操作や動きを常に監視し、不審な動きを検知したときは速やかにシステム管理者に通知します。通知を受けた管理者は状況を分析してすぐに対処が可能です。ログも常時取得しており、侵入経路の特定もできます。
・DLP
DLP(Data Loss Prevention)は、データの漏洩防止に特化したセキュリティシステムです。重要な企業データを監視し、不正コピーや編集はできない仕組みとなっており、情報漏洩や流出、破損を防ぎます。
3.現在求められるエンドポイントセキュリティ対策
エンドポイントセキュリティ対策が求められる理由は、社会情勢によって変わります。2023年現在、企業に求められるエンドポイントセキュリティ対策は次の2点です。
- モバイル端末の感染を未然に防ぐ
- マルウェアの侵入被害を最小限に抑える
ここでは、上記の対策が必要な理由と、それぞれの目的に合ったエンドポイントセキュリティの種類を紹介します。
3-1.モバイル端末の感染を未然に防ぐ
テレワークの普及により、ノートPCやタブレット、スマートフォンなどのモバイル端末を社外に持ち出して業務を行うケースが増加しています。ゲートウェイセキュリティ外で端末を使用することになるため、マルウェア感染のリスクに晒された状態です。
エンドポイントが感染すれば、社内ネットワークにも侵入される可能性が高く、気付かないまま機密情報を盗まれるといった被害に遭いかねません。
端末のマルウェア感染を未然に防ぐためには、AVやEPPを用いるのが一般的です。ただし、AVやEPPでは未知のマルウェアを防げない点がネックです。最低限の感染対策として、未知のマルウェアにも対応できるNGAVやNGEPPも併用すべきといえます。
3-2.マルウェアの侵入被害を最小限に抑える
AVやEPPに加えてNGAVやNGEPPで対策していても、マルウェアの侵入を100%防ぐことはできません。そのため、侵入されることを前提として、サイバー攻撃を受けた後の被害を抑える対策も必要になります。
侵入後の被害を最小限に抑えることを目的としているのが、EDRです。EDRは、ネットワークに接続している各エンドポイントの動きを常に監視し、異常がないか見張っています。マルウェアが侵入するとすばやく検知して管理者に通知を走らせるため、迅速な対処が可能です。
4.エンドポイントセキュリティ対策を強化するためには?
現在のセキュリティ対策では、「EDR+NDR+MDR」とする考え方が一般的です。EDR・MDR・NDRを組み合わせることで、エンドポイントセキュリティ対策を効果的に実施できます。
EDRは、エンドポイントを監視してマルウェアの侵入を検知する仕組みです。NDRはネットワーク全体を監視します。ただし、脅威の検知後に的確に対処するためには高度なスキルや知識をもった人材が必要です。
脅威の検知で得た情報の活用など、その後の対応が難しい場合のソリューションがMDRです。MDRとは、脅威の検知・侵入の阻止から侵入後の対策までを一貫して請け負うセキュリティ監視・運用代行サービスを指します。
SYSCOM GLOBAL SOLUTIONSでは、EDR+NDR+MDRを組み合わせたセキュリティサービス、更にはそれらを統合して監視するSOC(セキュリティオペレーションセンター)サービスを提供しています。企業の重要な資産である情報と人材を守るため、すべてのアクセスを信頼しない(ゼロトラスト)という考えに基づき社内外で使用するあらゆるデバイスやネットワークなどを徹底的に調査・検証し、適切なセキュリティシステムを提供しています。
・エンドポイントセキュリティ(NGAV & EDR)
・ゼロトラストセキュリティソリューション
・MDRセキュリティサービスサービス
また、SYSCOMでは、経営責任者、IT部門担当者向けにセキュリティ関連のウェビナーも多数開催しています。セキュリティに関する過去のウェビナー動画、資料はこちらからアクセス可能です。
まとめ
エンドポイントセキュリティとは、エンドポイントにあるサーバーやPC、スマホ、タブレットなどの端末をサイバー攻撃から守るために講じるセキュリティ対策です。エンドポイントセキュリティを導入すると、効果的にマルウェアを検知・防御できる、端末を管理できるなどのメリットがあります。
エンドポイントセキュリティには「AV/EPP」「NGAV/NGEPP」「EDR」「DLP」の4種類があり、それぞれ異なる特徴があるため目的に応じた種類を選びましょう。エンドポイントセキュリティ対策を強化するためには、EDR・MDR・NDRを組み合わせるのが一般的です。
SYSCOM GLOBAL SOLUTIONSでは、セキュリティサービスの提供は主に北米にオフィスを構える日系企業・グローバル展開をされている企業向けに行っています。脅威検出から対処・管理・継続的な監視まで一貫してお任せいただけますので、セキュリティに不安がある企業担当者の方はぜひご相談ください。