ビジネスを成功させるために、顧客情報などを収集しているという企業は少なくありません。顧客の購買履歴やアクセスログなどのデータを収集し、集めたデータからビジネスの方向性を新たに定めることで収入の向上を期待できます。
収集したデータをビジネスに活用することをデータ活用と言います。当記事では、データ活用の概要と種類、データ分析との違いといった基本情報から、データを活用するメリット、活用の手順、おすすめのツールまでを解説します。
1.データ活用とは?
データ活用とは、社内外に存在するさまざなデータを業務に役立てることです。一時的な状況把握のためにデータを分析するケースを指して言うことはあまりありません。一般的に、業務プロセスにデータを組み込んで継続的に役立てるケースを指します。
対象となるデータは幅広く、売上データや顧客情報、顧客アンケートの結果といった社内にある情報だけでなく、国や地方公共団体のオープンデータやほかの企業が保有する情報なども含まれます。
1-1.データ活用とデータ分析の違い
データ活用と似た意味の用語にデータ分析があり、一見似ていますが両者は以下のような違いがあります。
データ分析 | データの関係性などを調べて必要な知見を得ること |
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データ活用 | データをもとに戦略を立てて施策を実行し、結果を検証するなど実際の業務に役立てること |
データを調べるプロセスを、データ分析と呼びます。データ分析によって得られた結果を事業に生かすことがデータ活用です。つまり、データ分析はデータ活用のベースとなるものであり、手順の1つと言えます。
データ分析には、統計学や数字の加工などのスキルが求められます。ただし、専用ツールを使えば、専門知識がなくても分析は可能です。データ活用には、データ分析で得た知見を実務に落とし込むスキルやマーケティングの知識があることが望ましいです。
データそのものは事実を数値化したものにすぎません。集めたデータを効果的に活用するためには、データ自体を適切に加工して可視化し、規則性や相関関係、因果関係などを調べる必要があります。
1-2.ビジネスに活用できるデータの種類
経営判断や状況把握の精度を上げるためには、ビッグデータの積極的な活用が効果的です。総務省によると、ビッグデータには次のような種類があります。
オープンデータ |
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企業データ |
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パーソナルデータ |
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出典:総務省「平成29年版 情報通信白書|ビッグデータの定義及び範囲」
オープンデータは、インターネットなどを通じて誰でも無償で利用できる点が特徴です。
2.ビジネスにデータを活用するメリット4つ
データ活用を業務に組み込むことには、ビジネスにおいて多様なメリットがあります。今回は、代表的なメリット4つを解説します。
1.精度の高い現状把握ができる |
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データの推移や変動を読み解くことで、自社の事業の現状や業務課題を客観的に把握できます。現状把握が正しくできれば、どこにどのような課題があるのかが分かり、適切な対策をとれるようになります。ワークフローにおけるボトルネックが見つかれば、改善によって業務効率化や生産性向上につながるでしょう。 |
2.事業のヒントが得られる |
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複数の種類の大量のデータを組み合わせて分析すれば、消費者の潜在ニーズが見え、新たな発見が得られることがあります。新しい商品やサービスを生み出す契機になったり、課題解決の糸口になったりと、企業活動を進める上での有効なヒントが手に入るでしょう。 |
3.売上向上に寄与する |
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消費者のニーズが読み取れるため、需要にマッチした商品・サービスや企画を展開でき、売上の向上につながります。
たとえば、ECサイトでとある商品を購入した方に需要が高そうな別の商品を提示すれば、ついでに買ってもらえる可能性が高くなるでしょう。また商品の購入後、時期を見計らってメンテナンスや交換部品を勧める方法も有効です。自社製品に対するニーズを持つ顧客を見いだし、効果的にアプローチできます。 |
4.迅速な経営判断を可能にする |
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経営層の勘や経験による主観的な判断では、多様化・複雑化する事業環境に対応することは簡単ではありません。データがあれば、客観的な視点から的確な経営判断が下しやすくなります。明確な根拠があるため関係者の合意形成も図りやすく、経営判断の迅速化を可能にします。 |
3.ビジネスにおけるデータ活用の手順
ビジネスにおいてデータ活用を実施する場合、基本的には以下の手順で進めます。
1 | データ活用の目的を設定する |
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まずは「コストの削減」「業務効率の向上」など、データ活用によって達成したい目的を明確にします。目的を明確にすることで、どのようなデータが必要でどの手法やツールを使って分析すべきかがはっきりします。データ分析によって得られた知見をビジネスに生かすためにも、データ活用の目的は最初に明確にすることが大切です。 |
2 | データを収集する |
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目的が明確になれば、必要なデータも分かります。まずは、すでに必要なデータがそろっているかどうかを確かめましょう。このとき、データがなかったり不足したりする場合はデータ収集にかかります。自社サイトを通じて個人データを収集する場合は、事前に入手方法や利用目的を告知して同意を得ておきましょう。 |
3 | 収集したデータを可視化する |
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収集したデータは必要に応じて整理し、重要性の高いものはグラフや図表にするなど直感的に把握できる形で可視化します。可視化することで社内の人に情報を理解しやすく、伝わりやすくなります。 |
4 | 可視化したデータを分析する |
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可視化したデータを、最初に立てた目的に沿って分析します。さまざまな分析方法があるため、目的に合った手法を選びましょう。 |
5 | 分析による知見をもとに実行・効果検証 |
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データの分析結果をもとに事業戦略やアクションプランを立て、実行に移します。施策データを収集し、定期的に効果検証をしてPDCAサイクルを回すことがポイントです。 |
4.データ活用でおすすめのツール3選
データ活用にあたっては、BIツール導入がおすすめです。BIツールとは、必要なデータを集約して分析・可視化し意思決定を支援するツールを指します。BIツールの導入によって、専門知識がなくても高い精度で分析でき、データ活用が効率的に進められるようになります。
ツールには複数の種類があり、特徴はさまざまです。データ活用の目的に合ったツールを選択しましょう。今回は、データ活用でおすすめのツールを3つご紹介します。
4-1.D365 ERP
Microsoft Dynamics 365 Business Centralは、世界規模で20万社を超える導入実績を誇るEPRパッケージ(基幹業務システム)です。販売管理や在庫管理、生産管理、マーケティング管理に財務管理と、ビジネスを運営する上で必要な業務機能が一通りそろいます。
マルチデバイス対応のため使用する端末を限定せず、外出先からでもアクセス可能です。トップページは視覚的に整理され、分かりやすいのも魅力です。また、Microsoft Dynamics 365 Business Centralは拡張性が高く、企業の成長に合わせて柔軟な対応ができます。
4-2.D365 CRM
Microsoft Dynamics 365 CRMは、営業支援やカスタマーサービス、マーケティングなどの機能を中心とするビジネスアプリケーションです。Microsoft Dynamics 365 CRMを導入することで、顧客情報を一元管理し、より質の高いカスタマーエクスペリエンスを構築できます。
また、WordやExcelといったofficeアプリのデザインを受け継いでおり、officeアプリに親しんでいる人なら直感的に操作できるため、導入もスムーズです。
4-3.Power Platform
Microsoft Power Platformは、Power BI(分析ツール)やPower Apps(アプリ開発ツール)、などのツールから成り立つプラットフォームです。
Power BIはデータを分析し、予測やアドバイスを提供します。レポートの生成も容易で、さまざまなデバイスから閲覧や更新が可能です。また高度なセキュリティを誇り、ログイン情報や利用状況を確認することもできます。
まとめ
データ活用とは社内外のデータを業務に役立てることであり、データの関係性などを調べて知見を得るデータ分析とは異なるものです。ビジネスではオープンデータ、企業データ、パーソナルデータの3種類のデータを活用できます。ビジネスにデータを活用することで、現状把握や売上向上といったメリットが得られます。
データ活用には、BIツールの導入がおすすめです。SYSCOM GLOBAL SOLUTIONSでは、D365 ERPやD365 CRM、Power Platformなどのツールを提供しています。ツールの他、DXに関するウェビナーも定期的に行っておりますので、企業のDX推進をご検討の方はぜひご参加ください。