PMOは、複数の社員で仕事の進捗や品質を管理することで、プロジェクトを成功に導きます。プロジェクトのゴール到達には欠かせないチームです。
PMOには主に4つの職種があり、それぞれ役割や業務に違いがあるため、適した人材を選抜する必要があります。また、業界の知識や資格をもっている人材を選ぶことで、プロジェクトを成功させやすくなるでしょう。
今回はPMOの定義・職種の特徴から、導入するメリット・デメリット、求められる資格・スキル、プロジェクトを成功に導くポイントまでを解説します。
1.PMOとは
PMO(Project Management Office)とは、大規模なプロジェクトに含まれる個別プロジェクトや細分化されたタスクの進捗管理・品質管理を担当するチームを指します。
企業のプロジェクトを成功に導くためには、仕事の進捗や品質を管理し、プロジェクトのゴールに到達できるよう全体を指揮する役割を担う人材が必要です。基本的には1人の社員がプロジェクト全体のマネジメントを担いますが、大規模な案件ではすべての個別プロジェクトを管理・監視することが難しくなります。
PMOは、プロジェクトマネジメントの責任者の活動を複数の社員でサポートし、大規模なプロジェクトの進捗管理・品質管理をチーム全体で進めるというシステムです。大規模プロジェクトにおける個別プロジェクトの管理がしやすくなるため、大規模プロジェクトの成功率を高める効果が期待できるでしょう。
1-1.PMOの職種と役割
PMOには複数の職種が含まれており、主に担当する業務も職種によって異なります。ここでは、PMOを構成する職種の特徴や役割・ポジションについて紹介します。
◆PMOの職種と役割・主な業務内容
職種 | 役割 | 主な業務内容 |
---|---|---|
PM(Project Manager) | プロジェクト全体を管理する責任者(プロジェクトマネジャー) |
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PMOアドミニストレータ | PMOにおける事務作業を担当 |
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PMOエキスパート | 分析・戦略立案 プロセスの標準化 |
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PMOマネージャー | PMOチームのマネジメント |
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PMOでは、プロジェクト管理の責任者であるPMを、その他の職種がそれぞれの役割を果たすことでサポートする体制となっています。
1-2.PMOとPMの違い
PMOとPMは、いずれもプロジェクトを円滑に進めて成功に導くことを目的として、プロジェクトの進捗管理・品質管理を行う役割を果たしています。PMOとPMには共通点もありますが、プロジェクト内での立場や求められる役割が異なることに留意しましょう。
◆PMOとPMの違い
【PMO】
PMがプロジェクトを円滑に管理できるよう支援し、個別プロジェクトのマネジメントや事務作業・情報収集などのサポートを行う組織。
【PM】
プロジェクトの総責任者であり、プロジェクトの目的設定やプロジェクトメンバーの選定、プロジェクト全体の管理を行う人材。
PMOはPMをサポートするチームであるため、PMの直下または横にPMOが位置する組織体制となるのが一般的です。
2.PMOを導入するメリット・デメリット
PMOを導入することには多くのメリットがありますが、デメリットも存在します。メリット・デメリットの両方を理解した上で、PMOを導入するかどうか検討しましょう。
◆PMOを導入するメリット
・PMの業務負担を軽減できる
PMの業務負担の軽減は、PMOを導入する最大のメリットとして挙げられます。PMOを導入することで細やかなケアが可能になるため、PMは本来の業務であるプロジェクトの統括に集中できるでしょう。
・迅速かつ的確な意思決定につながる
PMOがプロジェクトに関する情報の収集・整理・分析を適切に行うことで、PMはプロジェクト推進に向けて精度の高い意思決定ができるようになります。PM1人で問題を抱えるよりも、素早く正確に判断できるケースも多いでしょう。
・業務の質・効率の向上につながる
PMOが個別プロジェクトの管理サポートを行う場合は、各プロジェクトに適した細かな業務改善が可能となります。個々のプロジェクトに合った業務プロセスの合理化・ツールの導入などにより、業務の質・効率の向上も図れるでしょう。
◆PMOを導入するデメリット
・コミュニケーション不全に陥る可能性がある
PMOを導入するほどの大きなプロジェクトとなると、さまざまな立場からプロジェクトに関わる社員の人数も多くなります。コミュニケーションの質が低下する恐れがあることに注意しましょう。
・意見が対立するリスクがある
コミュニケーション不全によって信頼関係を十分に構築できなかった場合、PMOと現場との間などで意見が衝突する可能性があります。社員どうしの対立はプロジェクトの失敗につながる恐れがあるため、互いの立場を尊重してコミュニケーションを十分にとることを心がけましょう。
・PMが複数人いるような状態に陥る恐れがある
PMOがPMを差し置いて主導権を握ってしまうと、複数人の指揮がいる状態となるためプロジェクトの統率がとれなくなる恐れがあります。PMOを導入する際には、PMOの業務範囲やPM・プロジェクトへの関わり方・スタンスを事前に明確にしておきましょう。
3.PMOに求められる資格・スキル
PMOを導入する際には、PMOとしての適性がある人材を選ぶことも大切です。ここでは、PMOに求められる資格やスキルについて解説します。
◆PMOに必要とされる資格・スキル
・MOS資格
MOS(Microsoft Office Specialist)とは、「Word」「Excel」をはじめとするマイクロソフト社製品を活用できるスキルがあることを証明できる認定資格です。PMOはOffice系のソフトを活用した資料作成業務も多いため、MOS資格取得の際に学んだことを存分に生かせるでしょう。
出典:オデッセイ コミュニケーションズ「マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)とは」
・PMP資格
PMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)とは、プロジェクトマネジメントに関する国際的な資格です。資格取得に向けた学習を通してプロジェクトマネジメントの体系的な進め方が身につくため、プロジェクトの管理業務を効率的に進められるでしょう。
・コミュニケーションスキル
PMOはさまざまな立場の人と関わる機会が多いため、ビジネスにおける高いコミュニケーションスキルが求められます。プロジェクトメンバーに配慮しながら支援することも大切ですが、指摘するべきポイントは指摘するなどメリハリのある接し方ができる人は向いているでしょう。
・IT業界の知識
エンジニアと打ち合わせをする上で、IT業界に関する知識は必要不可欠です。IT業界の専門用語や業界の現状など、基本的な知識がある人材がよいでしょう。
・開発に関する知識
PMOがプログラミングに直接携わるわけではありませんが、エンジニアとの打ち合わせをスムーズに進めるためにはプログラミングの知識も必要です。開発のスキルや経験がある人であれば、PMOとしても大いに活躍できるでしょう。
4.PMOを成功に導くためのポイント
PMOによるプロジェクトマネジメントを成功に導くためには、プロジェクトにおける課題やリスクをいち早く察知し、早期に解決できる能力のある人材を選ぶことが大切です。プロジェクトメンバーと頻繁にコミュニケーションをとり、進捗の遅れや進行状況の傾向を常に把握できる体制を整えておきましょう。
また、プロジェクト管理に対してPMOが当事者意識を強く持つことも大切なポイントです。「問題発生の報告と併せて具体的な解決策をPMに提案する」「プロジェクトの現状に合わせた業務プロセスを提案できる」など、主体的に取り組める環境を整えましょう。
まとめ
PMOとは、個別プロジェクトや細分化されたタスクの管理を担当するチームのことです。PMOは、PM、PMOアドミニストレータ、PMOエキスパート、PMOマネージャーの4職種で構成され、それぞれ役割や業務内容が異なります。
PMOを成功させるためには、プロジェクトの課題やリスクを察知して早期に解決できる人材、業界の知識や資格をもつ人材を選ぶことが大切です。SYSCOMでは、主にグローバル企業様向けに、業界の知識や資格のみならず、各国の言語や文化も精通した人材をアサインするPMOサービスなど、お客様のニーズに合わせたPMOサービス、コンサルティングサービスを提供しています。