金融業:Microsoft Power Apps を利用した社内管理用アプリの開発事例

1. 導入したサービスのカテゴリService Category
- 導入したサービスのカテゴリ
- Microsoft Power Platform Power Apps
- クライアントの業種
- 金融
2. 導入背景Introduction Background
世界的に猛威を振るった新型コロナウイルスも2022年に入ると徐々に落ち着きを取り戻しつつあり、在宅勤務からオフィスへの出社を実施する企業が相次ぎ、同社でもオフィス出社を当番制で再開させる事となりました。
独自のオフィスポリシーを順守しながら従業員の要望を実現できる仕組み・ソリューション提案を求めており、長年ITサポートの保守管理をお任せて頂いていたSYSCOMに相談を頂くこととなりました。
このプロジェクトを進める上で、クライアントからのご要望としては2点ありました。1点目は各社独自にオフィスのポリシーがある中、同社においては出社日前日にオフィスに出社する従業員に体調に関するアンケートの実施が必要であること、2点目は、市場的にもオフィスのあり方が見直され、固定席ではなく、フリーデスク化を進める企業が増加していたこともあり、同社においてもフリーデスク化し、従業員が出社する前に会議室や座席を予約できる「ホテリング機能」の導入が必要となりました。
※ホテリング…座席予約システムのこと。フリーアドレス制の企業が導入することが多く、社員自らが、デスクやワークスペースなどを予約して確保する管理方法。
当番制のオフィス出社をこういったアプリ無しで進めていると、管理部門担当者が、エクセルでアンケートシートを作成し、出社予定の従業員に個別で事前にメール送付、回答された内容を手動でファイルサーバに管理するといった、新たな管理工数が発生することが容易に想像できました。
それを防ぐため、従業員が簡単に実施でき、アンケートが自動で保存されるアプリの導入が必須となりました。
クライアントの声
20年程前から自社のITシステムの保守管理についてはSYSCOMさんに全てお任せしておりました。
自分達でもリサーチしてアプリを探したのですが、全く新しいシステムを使う場合にはコンプライアンスの問題もあり、外部システムの利用に対する懸念もございました。また、コロナ禍になり、様々なアプリが流行っていましたが、我々にとっては多くの機能を兼ね備えたアプリではなく、シンプルな機能を持ったアプリが必要でした。
そこで、SYSCOMさんにご相談することにしました。
3. 導入サービスについてImplemented Solution
すでにMicrosoft 365を導入していたこともあり、他のサードパーティーのアプリを導入するよりも、導入コストと導入後の保守の観点において、Microsoft Power Appsの導入が現環境と親和性が高いと判断し、ご提案しました。
また、通常このようなアプリを開発するには、3~4か月かかりますが、オフィスオープンの時期が決まっており、ご依頼から導入完了までを1~2か月で進める必要がありました。
MicrosoftのオフィシャルソリューションパートナーであるSYSCOMにはMicrosoft Power Platformに精通したコンサルタント、エンジニアが多数在籍していること、20年以上の保守管理をお任せ頂いていたことでクライアントのIT環境を熟知していたこと、そして何よりも、Microsoft Power Appsを導入することで、コスト面においても抑制でき、事前アンケート結果をSharePointのリストに格納するなど、Microsoftの環境下でスムーズに連携ができること等の条件が揃い、スピーディーにローンチすることが可能となりました。
▼Microsoft Power Platformの詳細はこちら
https://test.uploadbook.com/syscom/ja/solutions/digital-transformation/microsoft-power-platform/
クライアントの声
今回はオフィスオープンの日程が既に決まっており、逆算してSYSCOMさんに依頼をしました。
とてもタイトなスケジュールだったことや、わたしたちがMicrosoftサービスを隅々まで確認・理解する間もないままでの依頼だったんですがSYSCOMさんに連絡したら基本的にすぐにご対応頂けることや、ローンチまで時間の無い中、ミーティングにはエンジニアの方も加わって下さり、
複雑なサービス・機能が多くあるMicrosoftのアプリをこちらの要望通りの形にして無事、オフィスオープン日にはしっかりと間に合わせる事が出来ました。
4. 導入前課題についてChallenges & Requirements
導入前の課題としては2点ありました。
1点目は2つの機能「出社前アンケート(アンケート実施後、自動でSharePointのリストに格納)」と「ホテリング機能」を別々のアプリで開発せず、1つのアプリでまとめ従業員にとってストレスのない仕様にしてほしいというクライアントからのご要望を叶えること、2点目はアメリカ独自の問題として「タイムゾーンの問題」を解消することです。
アメリカ国内では夏・冬時間により、1時間のずれが発生します。この時間のずれるタイミングで社員が予約した際に問題が発生するなどの事象があったため、その点も課題点として対処を行いました。
5. 導入時の工夫Process & Considerations
要件ヒアリングから、アプリのローンチまで1~2か月と期間は短かったものの、導入後にアプリを管理される担当者とのミーティングを重ね、頂いた要望をすぐにアプリで検証・追加して進められるアジャイル型でプロジェクトを進めていきました。
※アジャイル型…70~80%程度の成果物を作り、実際にクライアントに触ってもらいながらフィードバックを貰って完成形に近づけていく方法。
Microsoft Power Platformには多くの機能が備わっており、お客様の要件に沿ってカスタマイズが可能ですが、一方で明確なゴール設定が重要になります。このプロジェクトでは、弊社のエンジニアも早い段階からミーティングに参加し、エンジニア視点からの意見も取り入れた形でのコミュニケーションを重ねることで、クライアントの要望に沿ったアプリを作成することができました。
SYSCOMの通常のITインフラサポート業務においては、各社のIT担当者とプロジェクトを進めることが多いですが、アプリ開発においては、実際に利用されるユーザーとのやり取りがメインになります。
そのため、アプリ内で利用できる機能や、SYSCOMの提案で座席図面を取り入れるなど、よりユーザーにとっての利便性の高いアプリとなるようヒアリングしながら進めていきました。
さらにアプリの利便性向上を目的として、WEBブラウザだけではなく、移動時間などでも操作ができるよう、スマホ端末(iOS・Android)からもアプリの閲覧・使用が可能となっています。
6. 導入後の成果Results & Outcome
アプリ利用率
これまでMicrosoft Power Appsのようなユーザーが利用する社内アプリは無かったため、もしもアプリを導入していなかった場合は、メールやエクセルによる煩雑な運用、ユーザーの管理工数の増加などが予想されました。
今回のアプリ導入は、スムーズな運用、工数の削減を達成できただけでなく、実際にアプリ利用率は90%を超えています。
導入から1年以上経過しますが、導入後のアプリのトラブルや問い合わせは3件以内となっており、不具合なく運用することができています。
アプリの開発においてテストを実施することは特に重要です。開発者側でテストを行うことは基本ですが、不具合は開発者が想定してない利用方法をユーザーが行った際に起こる可能性が高いため、開発者側のテストだけでは不十分なケースが多いのです。
そこでUAT期間を設けました。実際にこの期間で開発者が想定していなかった不具合を多く発見できたことで、1年経過時のトラブルを3件以内に抑えることができたとも言えます。また、今回のアプリ作成と運用がMicrosoftエコシステム内で統一されていたということも、不具合が少ない理由の一つでもあります。
※UAT期間…ユーザーアクセプタンス期間。テスト期間として1~2週間クライアント側でユーザーとしてアプリを試してもらい、不具合・トラブル要因などを見つけ解消する期間
クライアントの声
現在、社員の90%以上のメンバーは使っている印象です。初めは2~3件の不具合があったものの、すぐにヘルプセンターに連絡して解決することができました。
このアプリを開発していなければ、毎回エクセルで対応し、管理部の担当者に提出・・という形になっていました。
その運用だと一元管理はできるかもしれませんが、社員や管理部の担当者の手間がかかっていました。
また、エクセルやメールを使用した管理だと、管理漏れなどが発生する可能性があるため、アプリを開発して本当によかったと感じております。
ホテリングシステムに関しては、外部のツール導入がコンプライアンス的に難しかったことや、ツールの選定・社内での承認に時間がかかり、オフィス出社が再開となる日までに間に合わないといったこともありました。アプリがなければ自分たちで共有エクセルで管理していたと思うので、アプリの導入により管理の効率化を図ることができました。
一方で、シンプルなものを作成したため、より使いやすくしていくために、今後プラスアルファの部分をアップデートして頂きたいと思っています。
7. プロジェクトメンバー紹介Member Introduction
エンジニア:ユージーン・ウィルキンソン
ビジネスアプリケーションディベロップメント PPテクニカルコンサルタント。ソフトウェア開発会社にてクラウドソリューションの提案・運用支援を担当した後、2020年にSYSCOMに入社。主に在米日系企業向けにMicrosoft 365を使ったアナログ業務のデジタル化の開発/運用サポートなどを実施。
営業:宮本将光
SIソリューション・ディヴィジョンV2(金融・小売部門)シニアマネージャー。SYSCOM歴5年。金融、保険業界を中心にこれまで約100社以上の在米日系企業向けにセキュリティ、ITインフラ、Biz Appを含めたITソリューションの提案、サポートを実施。
8. SYSCOMへの感想Feedback on SYSCOM
クライアントの声
SYSCOMさんにサポート頂いて20年が経過しますが、いつも臨機応変に対応してくださり大変助かっております。これまでは、各種トラブルが発生した際の対応面でお世話になることが多かったのですが、プロジェクト単位での関わりは今回が初めてでした。コロナ禍によって環境が大きく変化する大変な時でしたので、一緒にチームとなり問題解決してもらえて嬉しく思います。
9. まとめConclusion
SYSCOMでは、営業だけでなく、エンジニアも初期段階から案件にしっかりと入り込み、クライアントの課題を解決するソリューションを提供しています。
アプリ開発を検討されている企業には、早く簡単に作れるMicrosoft Power Platformをおすすめしています。このソリューションは、Microsoftの環境下で構築を行うため不具合が発生しにくいという特徴もございます。
SYSCOMには、Microsoft Power Platform導入支援専任のエンジニアが多数在籍しています。Microsoft 365の導入から、Microsoft Power Platform導入、データの収集・解析・予測や、新しいアプリの構築なども支援しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。