データドリブンとは|3Kとの違いや実施の手順・ポイントも

データドリブンとは|3Kとの違いや実施の手順・ポイントも

購買行動の複雑化や、社会情勢・市場環境の変化が著しい昨今では、以前のように勘や経験に頼る意思決定は難しいのが実情です。目まぐるしい変化が多い社会に対応する方法として、ビックデータを分析し、その結果を元に行動や戦略を立てる「データドリブン」が注目を集めています。

今回は、データドリブンの概要と必要性、企業に取り入れる3つのメリット、基本的な方法とポイントを解説します。データを活用して迅速な意思決定や業務の効率化を目指している企業の経営者、上層部、セールス・マーケティング責任者の方は、ぜひ当記事を参考にデータドリブンの理解を深め、事業に取り入れてみてください。

1.データドリブンとは?

データドリブン(Data Driven)とは、売上データや顧客データなど、企業の蓄積するビックデータを元に判断する業務プロセスの総称です。3K(勘・経験・気合)とは異なりデータを元にするため、精度が高まる上に仕事の俗人化を防ぐ役割もあります。

データドリブンを活用した業務は、「データドリブン経営」や「データドリブンマーケティング」などと呼ばれ、業務の意思決定やマーケティング活動、課題解決などに役立ちます。

1-1.データドリブンが必要といわれる理由

データに基づく意思決定は以前から行われてきました。近年、データドリブンの必要性が増していることには、以下の3つの理由があります。

・デジタルマーケティングやビッグデータが発展した

実店舗の売上データだけでなく、ECサイトの行動履歴なども活用したデジタルマーケティング技術の発展により、ビックデータの収集が容易になりました。

収集したデータはそのまま蓄積するのではなく、加工し可視化することで、経営診断の材料として利用する動きが加速しています。

・顧客行動が複雑化した

従来、商品やサービスを利用する際は、店舗で購入したり、商談により決定したりすることがほとんどでした。しかし、現在はオンライン環境の発達により、個人・企業を問わず、多くの顧客がオフラインとオンラインを行き来した後、購買行動を決定する流れが主流となっています。

消費者行動が複雑化した結果、「良いものを作れば売れる」時代は過去のものとなりました。そのため、勘ではなくデータに基づく判断が必要です。

・企業のIT環境が進んだ

クラウド型顧客管理ツールや販売管理システムなどの普及により、企業活動のIT化は急速に進んでいます。

また、クラウドサービスのように、導入や利用が容易で、誰でも簡単にデータ加工ができる仕組みも発展したため、情報を分かりやすく共有することが可能となりました。企業のIT環境の発達も、データドリブンが必要な理由です。

2.データドリブンのメリット3つ

企業がデータドリブンを導入すれば勘に頼ることがなくなるため、プロセスの俗人化を防ぎ、スピーディーで精度の高い意思決定が可能となります。また、データベースのため顧客ニーズが正確に理解でき、効率的な業務改善が可能となるため、生産性の向上と売上の改善も期待できるでしょう。

ここでは、データドリブンの主なメリットについて解説します。

2-1.生産性の向上につながる

データドリブンでは蓄積したデータを可視化できるため、業務改善に役立ちます。生産性の低い部門にも気合による解決ではなく、データに基づいた具体的な改善方法を提示できれば、業務効率の向上が期待できるでしょう。

また、問い合わせに対するQ&Aのように、データを蓄積すればAIによる自動化も進めやすいため、人的リソースを必要な部分に集約可能です。ゆくゆくは売上の増加や収益率の向上にもつながります。

2-2.顧客ニーズを理解できる

購買データなど企業の蓄積するビックデータを利用することから、経験に頼るだけでは把握しきれない、複雑化した顧客ニーズの理解も可能です。

顧客ニーズが分かれば、属性やターゲット別により適した商品を開発したり、個々に合わせてサービスをカスタマイズしたりすることも可能となります。また、広告運用においても顧客に刺さる表現が確認でき、より効果的な宣伝につながるでしょう。

2-3.データに基づきスピーディーに意思決定ができる

市場が複雑化すれば、長年の勘や経験が役立たないケースも増えていきます。現状の変化を見誤ったり、意思決定が遅れたりすれば、経営に大きな影響を与えかねません。

データドリブンを取り入れることで、データに基づき市場変化を客観的に把握ができるため、スピーディーで精度の高い意思決定が可能です。データの活用により意思決定の工程を標準化できれば、管理職の変更などがあった際も柔軟に対応できるでしょう。

3.データドリブンの基本的な方法とポイント

データドリブンはデータに基づき判断・実行するプロセスのため、達成したい目標や目的が不明確では、効果のある施策を打ち出せません。それぞれの段階に具体的なKPIを設定するなどして目標を明確にしてから進めましょう。

以下ではデータドリブンの実施手順とポイントを紹介します。

3-1.【STEP1】データを収集・精査・統合する

データドリブンを行う際には、ベースとなるデータの収集が必要です。自社に目的に叶うデータの収集方法がない場合は、POSシステムや顧客管理システムなどを導入するところからスタートします。

なお、どのようなデータを収集すべきかは達成したい目的により異なるため、一概には断言できません。

既にビックデータが集まっているのであれば、必要なものを選定した上で統合します。部門ごとにデータ管理ベースが異なるなど社内に分散されている場合は、データ管理システムを導入し一元管理してもよいでしょう。

3-2.【STEP2】収集したデータを可視化する

データを収集してもローデータのままでは業務改善に活用できません。データは加工し「みえる化」する必要があります。すべて手作業で加工していては時間がかかるため、BIツールやWEB解析ツール、CDPなどを活用して効率的に集計や分析を行いましょう。

データを可視化する際も、目的の達成に必要なデータかどうかを念頭におき、分かりやすく加工する必要があります。

3-3.【STEP3】データを分析・解析して戦略を立てる

可視化したデータを元に、問題点を発見し、改善方法を模索するフェーズです。分析ではデータアナリストのように高いスキルが必要となるケースが多いため、社内に適切な人材がいなければ専門のコンサルタントに依頼してもよいでしょう。

さまざまな角度からの解析も必要となるため、市場調査部門やマーケティング部門などから、経験豊富な担当者を交えて意見交換をしたほうが賢明です。専門家や担当者と意見交換をした後、課題に則したアクションプランを計画し実行します。

3-4.【STEP4】アクションを実行する

アクションプランを策定した後は、実行し業務改善を行います。データドリブンで分析し立案した戦略は、一度対応すれば終わりではなく、実施後はPDCAを回しより精度の高い改善を続けることが重要です。

なお、アクションプランを実行する際は、実現可能性もあらかじめ検討しましょう。効果的な戦略でも、予算的に厳しければ実行できない恐れがあるためです。

また、企業によってはデータを基準とした判断が上層部に受け入れられない可能性も否めません。データドリブンを行う際は、一部門だけでなく企業全体で計画する、もしくは、影響力のある人物を事前に配置するようにしましょう。

4.データドリブンの支援サービス

データドリブンを進めるためには、社内のあらゆるデータを集める必要があります。データを収集する際は、営業・物流・経理など、社内情報を一元管理するERPや、顧客の個人情報から利用データなどを管理できるCRMなど、各種支援サービスの活用がおすすめです。

支援サービスを活用すれば個別に存在する大量のデータを一元管理し、最適な分析が可能となります。

データドリブンの支援サービスとして、SYSCOM GLOBAL SOLUTIONSではマイクロソフト社の製品と連携できる以下のソリューションを提供しています。

Microsoft データバース: 複数のアプリケーションで共通のデータを参照することを可能にするプラットフォーム

Dynamics 365 ERP: 営業・物流・経理など、ビジネスの中心となる業務プロセスの管理・強化を実現

Dynamics 365 CRM: お客様の情報を一元管理することで、最適化されたカスタマーエクスペリエンスを構築

Microsoft Power Platform: データの収集、解析、可視化、予測から新しいアプリケーションの構築などが可能

なお、SYSCOM GLOBAL SOLUTIONSでは、ソリューションの提供だけでなく、サポートまで一貫したサービスの提供が可能です。診断から実行計画案策定まで対応していますので、データドリブン経営を検討している際は、ぜひお問い合わせください。

Microsoft Dynamics 365ERP & CRM 導入サービス

まとめ

データドリブンとは、勘や経験に頼らず、データを元に判断を行う業務プロセスのことです。データドリブンを事業に取り入れることで情報を客観的に理解できるため、業務の効率化や迅速な意思決定に役立つでしょう。

Microsoft データドリブンとは|3Kとの違いや実施の手順・ポイントも

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